自伝

#2 両手を上げたらブラックアウト

satoshi mitsui

前回までのあらすじ

恥ずかしがり屋の目立ちたがり屋の三井聡は役者を目指し日本大学芸術学部に入学、何よりも目立ちたい彼は大学の一大イベントで目立とうとするのだが!
結果、舞台で黄色い声援を浴びてるダンスサークルのメンバーの警備員をすることに、、

目立つ所か土俵入りすらできなかった。
彼は決意した。
声援を浴びるようなダンサーになろうと、、、

#3 両手を上げたらブラックアウト

警備を辞めた三井聡はそのまま大学のダンスサークルに入ると思いきや、同級生でジャズダンスのスタジオに通ってる友達を訪ねた。

彼はサークルよりもプロが集まるダンススタジオの方がうまくなると思ったのだ。

ちなみに運動スペックは少年サッカー、少年野球、中学校の卓球クラブ(顧問の先生と喧嘩して半年で退部、、、)
ダンス経験は、日芸受験の実技にダンスがあるからと言われ、9歳下の妹と一緒に数回通ったバレエ教室。

目立ちだがり屋の気合いの元、以下の装備品を用意した。

・ダンス用品店「チャコット 」で買った黒のパンツ

・柄はよく覚えてないが白のテロテロTシャツ(湯葉みたいな)

・家の洗面所にあったタオル
(汗拭き用で使うため、確かレースが付いていた。)

・ジャズシューズを履くなんて分からないので家にあった体育館シューズ
(無くしても大丈夫、かかとの所に名前入り)

・アミノサプリ
(意味はわからないがアミノと言う言葉を頼りに)

友達と駅で待ち合わせをして、スタジオに向かう道中、内心ハイテンションだった。
僕はこれで目立てる、そしてプロになれる。
素人の中でも心身共にかなりやばいスペック、それが当時の僕。

スタジオに入り着替えを済ませ、クラスが始まるまでの約15分間、みんなはストレッチをしたり筋トレしたり、仲間同士でお喋りをしたり。
しかも周りは女性ばかり。

慣れない空間で僕のダンサーデビューとしての初レッスンが始まった。

と、言っても周りを見ながらついていくのに必死、いや、ついていけてない。
18歳の男がドタドタしてるだけだ、筋トレは女性よりも先に根をあげる、ストレッチは1人だけくまのプーさん状態、ステップは2本の足しかないのに何故か絡まる。

彼は呼吸をする事を忘れるくらい集中した。

運動神経は悪い方では無かったが、高校3年間全く運動をしていなかったのだ、体力なんて恐らく小学生レベル。

それでも負けん気が元々強いので、なんとかレッスンにかじりついていった。

様々なトレーニングが終わった後に、呼吸をしながらアームス(両腕)を綺麗にゆっくり動かすトレーニングがあった。

僕は「これならついていける!」
と内心ほっとしながらゆっくりと出来る限り綺麗な使い方を意識しながらアームスを上げた。

それと同時に視界の四方から黒いものが押し寄せてきた。
僕の視界をどんどん遮っていく。

そして次の瞬間!!

ダン!!!

画像

三井聡は気絶した。

両手を上げたらブラックアウトしたのだ。

Tシャツならぬ、彼自身がまるで湯葉状態、レースのタオルで汗を拭き、アミノサプリを飲んで戦力外通告状態。
そしてチャコット のパンツだけが唯一形崩れせずに彼の砕けた下半身を守っていた。
流石一流ブランドチャコット 。

あの時はありがとう。

スタジオの外で暫く休むと、呼吸する事を思い出した。

彼は最初のレッスンで誰よりも目立った。

だってクラス中に気絶して倒れ、クラスを中断させたのだから。

初めてのクラスは最後まで受けれず、途中リタイアでした。。
目立ちたい思いが違う形で叶ったのですw

悲劇惨劇がエンターテインメントになる事はしばしば、、この日の黒歴史は今日のnoteに記すためだったんだと思ったw

今現在のどんな辛い事や恥ずかしい事も時間が経てばエンターテインメントになります。

次回は復帰後2回目のレッスン、呼吸する事を思い出した三井聡のリベンジです。

#3 中野坂上でホワイトアウト

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!!

ABOUT ME
ミュージカル、歌劇、フィギュアスケート、映像CMなどの振付師として活動しながら自身もコンサートやショーの演出家でもある。 現役のjazz dancer、ミュージカル俳優である経験を活かし宝塚歌劇団で現役生へのダンス指導や国内各地でワークショップを開催している。
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